医療連携の必要性について
看護師の皆さんも、クリニカルパス学会、パス大会などへの参加により、医療連携の必要性・重要性については良くご存知かと思います。地域医療連携室を設置している病院では病床管理や退院調整を看護師も入って管理することにより、看護の視点で患者の全体像を捉えやすくし、患者さんへの対応を改善しているようです。今後も地域医療連携のニーズは住民から高まってくるでしょう。看護師の業務や勉強会の新しい企画などとしても重要性は高いと思います。
なぜ医療連携が重要なのか
なぜ医療連携が重要なのでしょうか?ひとつに、高度で最良の医療を受けたいという患者の要求が増大しているという理由があります。それに対応するため、医療機関は限られた資源を効率的に活用するため自院の機能特化を進め、お互いの役割を活かして連携しあうことで患者の要望に応えようとしています。
そのような事情を背景に、政府も医療法で医療機関の機能分化を推進し、診療報酬で患者の紹介・逆紹介を進めてきました。特に地域中核病院では高度化する医療技術への医師・看護師などへの教育、また患者のそのニーズ増に対して全ての疾患で専門医師、MRI・PETなど高度医療機器等の装備が求められてきました。しかしそれら全てを満たすことは難しく、各医療機関が個々の専門性や特殊性を発揮し相互に患者の紹介・逆紹介、医療連携が必要となってきたのです。
政府は医療連携を進めるために政策誘導してきましたが、本来の医療連携のメリットとして次のようなことが考えられます。
短期的メリットとしては、病院の場合紹介率が上がることで入院に直接つながる患者が増えることが考えられます。
また中長期的には各医療機関の役割が専門特化することにより、各医療機関の経営改善に繋がります。各医療機関では医療連携の重要性・必要性は、よく理解されていると思いますし、実際に看護師の皆さんが中心となりクリニカルパスなどを盛んに作っておられると思います。
クリニカルパス、クリティカルパスとは
クリニカルパス、クリティカルパスのほか、ケアマップ、ケアガイドなどいろいろな呼び方がありますが、クリニカルパスはカレン・ザンダー氏(ニューイングランド医療センター)により開発されています。これは20世紀初頭に作られた、工業製品の生産工程管理法、ガントチャートを基にしたものです。
なおクリニカルパスの定義は、現状で利用可能な医療資源(人・物・時間・情報、組織、風土)を効果的に活用し、標準的に提供すべき医療・看護サービスを、時間軸上にスケジュール化することによって、一定の疾患を持つ患者に対し、臨床効果、患者満足、経済効果、スタッフの職務満足等の適切なアウトカムを保証するツールとされています。
日本でパスを最初に導入したのは、1992年に榊原記念病院の、心カテーテルPTCAのパスが始まりだと考えられています。その後、1998年頃よりパスブームが始まり現在に至っているとされています。
そしてパスの形式には、「オーバービュー」「一覧表形式」、「日めくり式」「デイリーシート」などがあります。一般的には、縦軸にケア項目、横軸に時間軸をとった形式で一目で治療・看護・検査などの介入内容の全体がつかめるようにした、「オーバービュー形式」「一覧表形式」が使われています。またオーバービュー形式のパスから、1日分の詳細な内容を見るために作られたのが「日めくり式」と言われるもので、「デイリーシート」も同じ意味で使われています。
また医療連携には、疾患により紹介・逆紹介を目的とした循環型連携と役割分担を明確にフラットな関係で患者に地域全体で医療を提供する一方向型連携が考えられます。
循環型連携は、心筋梗塞や糖尿病のような、普段はかかりつけ医が診ていて、病状の急変時や定期的に専門医の検査・治療を受ける連携です。ですから長期間に亘り患者は専門医とかかりつけ医に診てもらうことになります。
一方、大腿骨頚部骨折・脳卒中などの疾患は発症後急性期病院での治療が終わると、回復期リハ病院でのリハビリテーション、居宅での維持期治療と一方向型の連携となります。
医療連携の実際
主な医療連携の事例としては、(1)診療所・医師会が中心となって実施している例、(2)病院の医師が中心となって実施している例、(3)病院・診療所・調剤薬局との連携の例、(4)医療機関が在宅医療にまで連携に取り組んでいる例、(5)都道府県が連携を働きかけて実施している例があります。
このように医療連携の実施にはいろいろな形態がありますので、看護師の皆さんも医療連携のどのステップで医療連携に協力して行けば良いのか考えておくことが必要です。
今回の医療連携の必要性についていかがでしたか?医療連携の重要性が言われている今日、看護師の皆さんも医療連携の一役を担うことになりますので、医療連携について再度ご確認下さい。




