2010年度のDPC制度大幅改定のポイント
2003年に大学病院など特定機能病院で導入が開始されたDPC制度では、診療報酬改定ごとに見直しが行なわれてきています。2010年度の診療報酬改定では、調整係数の段階的廃止など、DPC制度運用の根幹に関わる大幅な改定がなされました。お勤めの病院も関係してくる大規模な制度です。制度をよく理解しておきましょう。
DPC(Diagnosis Procedure Combination:診断群分類)制度とは
入院患者の診療報酬額について、出来高払いではなく、DPC:診断群分類に従った定額払いをする制度のことです。具体的には、該当する診断群分類の包括点数に、入院日数および医療機関別の係数を乗じて算定する包括評価部分点数と、出来高部分の点数とを加えたものが、患者さんの入院医療費となります。
包括評価の方式が適用されるのは、入院基本料や検査・画像診断・投薬・注射などで、手術・高額な処置・リハビリなどの技術料部分は出来高払い方式の適用となります。
2010年度の大幅改定のポイントは、1)包括範囲を見直して診断群分類の一部を出来高評価にすること、2)調整係数を段階的に廃止すること、3)調整係数の廃止にともない新たに機能評価係数Ⅱを導入することの3点です。
1.包括範囲の見直し
診断群分類点数表において包括評価されている次の項目については、出来高評価に見直されることになりました。
菌製剤処理料、術中迅速病理組織標本作製、HIV感染症に使用する抗ウイルス薬(HIV感染症治療薬)、血友病等に使用する血液凝固因子製剤、慢性腎不全で定期的に実施する人工腎臓及び腹膜灌流
2.調整係数の段階的廃止
調整係数は、各医療機関の前年度並み収入確保など、DPC制度が円滑に導入されるために設定されたものです。しかし、調整係数は既にその役割を終えているとも考えられることなどから、DPC制度で評価されている項目全体を再度整理し、既存の評価のあり方の見直しも含めて新たな機能評価係数について検討がなされました。そして2010年度の診療報酬改定から調整係数は段階的に廃止し、新たな機能評価係数に置き換えられることになりました。
3.調整係数廃止にともなう新たな機能評価係数の導入
調整係数の廃止にともない、新たな機能評価係数:機能評価係数Ⅱが導入されます。機能評価係数Ⅱの基本的な考え方としては
1.急性期入院医療を反映する係数
2.医療の透明化・効率化・標準化・質の向上など、患者の利点(医療全体の質の向上)が期待できる係数
3.社会的に求められている機能・役割を重視
4.地域医療への貢献という視点
5.係数による連続的評価と係数の上限値設定
6.係数の原則プラス評価
が上げられています。
具体的項目として図のように、データ提出指数・効率性指数・複雑性指数・カバー率指数・地域医療指数・救急医療係数の6つが設定されており 、2010年度において調整係数から機能評価係数Ⅱへ置き換える割合については、激変緩和の観点から、調整係数による上積み相当部分のうち25%とされています。
大幅改定で求められる医療機関の取り組み
新たに導入される機能評価係数Ⅱの6項目のうち、特に地域医療指数などには、第5次医療法改正の内容(4疾病5事業対策)が強く反映されています。ですからDPC医療機関では、医療機関別係数を上げるため、脳卒中・がんなどの医療連携の推進、地域がん登録への参画、災害時・へき地医療、周産期医療、救急医療などへの取り組みが必要となってきます。
今回の調整係数の段階的廃止と、それに替わる機能評価係数Ⅱの導入というDPC制度の大幅改定により、DPC医療機関の競争がさらに激化するものと考えられます。
DPC対象病院は約1400病院(病院の約18%)、病床数では約46万床(一般病床の約50%)と特に急性期病院ではDPCの内容を理解する、またその動向に注視する必要があります。
看護師さんへの影響
DPCの影響により、病院によっては入院期間(術前・術後)が短くなる可能性がでてきます。療養計画の日数短縮は、日々の医療者への負担が増えることになるでしょう。院内のチームでDPC対策に取り組むことが必要になりそうです。DPCデータを処理するシステムを導入しているところは、データ入力の業務が増えることになります。医師・看護師・事務担当などでデータ入力を分担し円滑に進める課題もありそうです。院内での所属が変わる場合や、勤務先が変わる場合などは業務をよく確認することをおすすめします。




