看護ジャパンでは看護師さんのために、「よくわかる、ナースのための医療制度」として医療制度の内容などを詳しく解説し掲載して行きます。今後、後期医療制度の見直し、医療法の改正、介護保険制度の改定と医療制度改革が予定されています。看護師さんがそれらの情報を理解することにより、医療業界全般を俯瞰する視野を手に入れ、医療業界でのコミュニケーションに役立つことはもちろん、院内での勉強会テーマにもお役立ちになればと思います。また、転職先での面接時などにも役に立つ情報です。ではまず、日本の医療保険制度について勉強しましょう。
国民医療費と医療費抑制策
看護師の皆さんは、国民医療費が36兆円(2009年見込み)と、毎年1兆円以上も増えているということを新聞報道等でご存知かと思います。そしてこのままだと医療財政が破綻するのではと言われていますが、看護師の皆さんにも影響の大きい国民医療費とその抑制策について考えてみましょう!
3-1 国民医療費の推移
国民医療費とは国民が1年間に使った医療費の総額のことであり、それには医療機関で診療・治療などにかかった診療報酬や薬剤費、看護費などが含まれています。また、医療保険の適用となる「あんま」「はり治療」なども国民医療費に含まれます。
ただし、正常分娩、健康診断、人間ドッグ、差額室料などの疾病の治療以外の医療行為は保険給付から除外されているいため国民医療費には含まれていません。
2009年の国民医療費総額は36兆円と見込まれていますが(図;厚労省HPより)、その約1/3は高齢者に、また約1/3は生活習慣病に伴う疾患に、また約1/3は病院で使われている医療費となっています。
また、よく諸外国との医療費を比較する指標として「GDP比」が用いられますが、このGDP(国内総生産)とは1年間に国内で生み出された売上高のことであり、GDP比とはGDPに対する国民医療費総額のことです。日本のGDP比は欧米諸国と比較しても低い方ですが、このままで行くと2035年には医療費が56兆円にもなると試算され医療費抑制策が講じられています。看護師の皆さんの給与も元をたどればその多くは国民医療費から支払われていますので、医療費抑制策は決して「ひとごと」では済まされないということが理解頂けると思います。
3-2 医療費抑制策
医療費の構成を見ると、特に生活習慣病・その悪化に伴う疾患(糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞など)に使われている医療費が大きいと示されています。ですから医療費抑制策の一番は生活習慣病の改善、病気にならないことにあります。それには、健康診断をきちんと受ける、また保健指導をしっかり行い重症化を防ぐことです。2008年4月から特定健診・保健指導が国民に義務付けられています。しかし、この予防医療では医療費抑制効果をすぐに出すことは困難です。
そこで、もう一つの医療費抑制策として、都道府県でも大きく違う平均在院日数の短縮を各都道府県の医療機関に求めています。具体的には最も短い長野県の平均在院日数との差を各等道府県の医療機関が短縮することです。
このように毎年増え続ける医療費抑制のために、いろいろな政策が行われようとしていますが、国民医療費の状況、今後の医療費抑制策の内容が理解できたかと思います。今後とも医療政策の情報には留意する必要があると考えます。




