看護師の配置基準の概要
一つの病院に何人の看護師が勤務するかは、医療法によって基準が定められています。入院患者1人に対する看護師の人数に応じて、「15対1」「13対1」「10対1」「7対1」と、4つに区分されています。このうち、「7対1」は平成18年の診療報酬改定で導入された比較的新しい基準です。
看護師の配置と入院基本料
看護師の配置基準は、診療報酬の入院基本料と連動しています。入院基本料とは、病院が医療保険からもらう診療報酬のうち、医師の診察や看護サービスなどに対して支払われるお金のことで、看護師の配置が多いほど入院基本料が高くなります。細かな数値は病院の種類や病棟の分類などによって異なりますが、基本的に看護師の人数が多く、手厚い看護を提供できる病院ほど、高い報酬を得られる仕組みになっています。
たとえば、患者さん1人が一般病棟に1日入院した場合、「7対1」の病院が得られる入院基本料は15.550円です。それに対し、看護師の少ない「15対1」の病院は9.340円で、その差は6.210円もあります(グラフ参照)。
多くの病院が高い入院基本料を得ようと「7対1」体制を目指し、看護師を積極的に採用するようになりました。とりわけ、大学病院や有名病院など、看護師に人気の高い病院が積極的な採用活動を行っています。
「7対1」体制と看護師の離職率
看護師の配置基準は、看護師のワーク・ライフ・バランスにも関係します。看護師の人数が多いほど、夜勤や当直の回数が少なくしたり、勤務と勤務の時間間隔を長くできたりと、よりよい労働環境をつくりやすくなるため、「7対1」体制の病院がもっとも働きやすい傾向があるのです。
その結果は、看護師の離職率のデータに見ることができます。日本看護協会の調査によると、看護師の離職率は「7対1」体制の病院がもっとも低いことが分かりました。具体的には、「7対1」の一般病棟における常勤看護師の離職率は10.8%、新卒看護師は8.5%。「15対1」体制の病院では、常勤看護師の離職率は11.9%、新卒看護師は11.8%と大きな差があったのです。
※日本看護協会「2010年 病院における看護職員需給状況調査」結果速報より
中小病院は「7対1」が難しい?
こうした調査結果を見ると、「ぜひ7対1体制の病院に就職したい」と思うかもしれません。実際、「7対1」体制を整備した人気病院は看護師が大勢集まっていると言われます。
しかし、日本ではもともと看護師の絶対数が足りないため、看護師の一極集中現象が起きて問題になっています。人気病院に勤務する看護師が増えた反面、中小規模の病院や、都市部から離れた地方の病院では、看護師不足が深刻になったのです。また、なかには高い入院基本料を得るために、ギリギリの人数で「7対1」体制を導入して、看護師のうち誰か一人が病気欠勤や産休、育休をとると一気に基準を満たさなくなる病院もあると言われます。
就職先の病院を選ぶ際には、看護師の配置を確認すると同時に、欠勤したときの体制が十分整っているかどうかもチェックしたいところです。




