看護師の業務は領域が広くとても大変です。業務の追われていると、どうしても視野が狭くなってしまうことがあります。しかし、一人で働いているわけではなく、人と人との関わりなくしては、医療は成り立たず、人間関係を避けて通ることはできません。看護師は、院内でも一番人数が多く、また他職種とも接する機会の多い職種です。皆さんはチーム内で、人間関係に悩むことはありますか?そのとき、どのように対処していますか。そんな時には、自分の意識や相手のことを良く考えて、冷静になって、行動を修正していくことも大切です。実際に働いている看護師さんはどう対処しているのでしょうか。院内での看護師同士のコミュニケーションについてみてみましょう。
3交代制での申し送り
病院勤務の場合には、主に3交替制と2交替制があります。3交替制は24時間を日勤・準夜勤・深夜勤で分けたもの、2交替制は日勤・夜勤の2つで分けたものです。勤務の入れ替わりの時には、状況(患者さんの状況や注意点)をシェアするために申し送りの時間が設けられています。例えば、日勤は8:00~16:45・準夜勤は16:00~ 0:45、深夜勤は0:00~8:45となっていて、45分は重なる部分があり、この時間を利用して申し送りなどが行われます。
二人の看護師(例)
Aさん
28歳 勤務5年目
仕事に燃えている中堅看護師
準夜勤での勤務
Bさん
38歳 勤務12年
ドクターからの信頼もあつい
ベテラン看護師
看護師同士のコミュニケーション
気持ちのすれ違い

夜勤の時間帯に差しかかってまもなく、ナースコールが相次いで業務が集中した時がありました。当日はAさんが準夜勤勤務、Bさんが夜勤勤務となっていました。1:00を回ってAさんは業務終了時間となっていましたが、状況を判断して残業しながら患者ケアを続けていました。(慢性的な看護師不足もあって、Bさんが準夜勤の時にも、患者ケアを優先して他のスタッフを手伝うということはありました。)その日、Aさんが2:30を回って帰ろうとしたときに、Bさんはケアの業務や看護記録などを作る業務などに追われていて、作業をしながら「ありがと」と小声で挨拶をする程度になってしまいました。Aさんの気持ちの中では、感謝の気持ちが伝わらなかったようです。
AさんはBさんの対応について、気にかかっていました。違う看護師に対しても、そのことを言い、「私は軽視されているのではないか」「Bさんは医師からの信頼も厚く、仕事も出来る、次期主任候補にあがっている…」とモチベーションも下がっているようでした。Aさんは、Bさんの仕事ができる姿や、医師からの信頼などは普段から見ていて、憧れている部分だったので、今回の挨拶がトリガーとなり、AさんのBさんに対する壁が高くなってしまいました。言葉では「ありがとう」を伝えていても、Bさんは顔や体を向けて挨拶をしていなかったことが、「軽く見られている」などと、Aさんは感じてしまいました。
二人の意識
Aさんは今月夜勤も多く、土日も勉強会などに出席していたので、疲れが溜まっていました。準夜勤なので早めに帰宅して、明日の勤務と、今週末に開催される勉強会の資料作りに備えようと思っていました。しかし、急に忙しくなり帰宅が遅くなりそうに… また自覚はなかったようですが、Bさんの仕事に対する意識の高さに憧れもあり、今回のことがトリガーになりました。
Bさんはこの病院での経験も多く、いままで準夜勤で勤務した時も夜勤のスタッフを数多くカバーしてきました。Aさんの仕事に対しては感謝の気持ちは持っていましたし、早く帰さなきゃという意識はありましたが、患者さんの状況などもあるので、看護師としては当たり前の行為と思っていました。
自らの意識や行為を自覚しましょう!
Bさんは性格も真面目で仕事ができます。しかし無意識のうちに自分の仕事への姿勢を基準に考えてしまい、今回の件に関する感謝の気持ちが薄れてしまったのかもしれません。当たり前のことを口に出して相手に伝えるということは非常に大切なことです。Aさんは自らの率先した気持ちを認めてもらいたかったようです。挨拶や態度が少しでも気持ちに響くものだったらその時は、満足していたのかもしれません。しかしAさんも自分の気持ちを自覚しました。Bさんと仲の良い人と話をする機会があり、その人のBさんへの認識を聞くことができたのです。Bさんの性格や意識の高さを理解して、許せるようになりました。 たかが挨拶と思われるかもしれませんが、同じ病棟で働いている看護師同士のコミュニケーションはとても重要です。スタッフ同士がお互いを認め合うことにより、患者様によりよい看護を提供できるのではないでしょうか。その後、Bさんは主任になり新人看護師にコミュニケーションを教える立場になりました。




